タイ占領化のマライ | 郵便学者・内藤陽介のブログ

 タイ占領化のマライ

 今日はタイのラーマ9世(いわゆるプミポン国王)のお誕生日だそうです。とういわけで、タイに関するモノの中から、今日はこんなものをひっぱりだして見ました。


 タイ占領下のマライ


 第二次大戦中、タイは中立国でしたが、周囲を占領していた日本とは友好的な関係を保ち、日本軍にも協力的でした。ところが戦況が次第に日本にとって不利になってくると、タイは徐々に日本への協力を渋り始めます。このため、タイをつなぎとめておく必要に迫られた日本側は、1943年10月、日本軍占領下のマライ北部、ケダー、ケランタン、トレンガヌ、ペルリスの4州(タイは、これらの地域を自国の領土として、長年、英領マライに返還を求めていた)をタイに割譲しました。


 これに伴い、現地で使用するために、タイの国名表示をした切手・葉書が製造され、1944年1月から使用されました。これらの切手は、もともとタイ国内で使われていたものとデザインは同じですが、額面がバーツではなく、セントになっているので容易に区別できます。


 今日ご紹介している葉書は、そうしたタイ占領下のマライ、アロスターから差し出されたもので、マライのイポー経由で昭南(シンガポール)まで届けられました。切手収集家が差し出した、いわゆるフィラテリックカバーですが、それでも、残っている量は決して多くはないので手に入れようとするとそれなりの出費が必要でしょう。


 マライの北部4州のタイへの割譲に関しては、いろいろとおもしろいマテリアルが存在しているのですが、なかなかご縁がなく、現在のところ、この1点しか手元にはありません。来年のワシントンでの展覧会までに、なんとか、追加のブツを手に入れたいのですが…。