すべては戦線へ! | 郵便学者・内藤陽介のブログ

 すべては戦線へ!

 琴欧州が大関昇進を決めたということで、またもやブルガリア・ネタを探していたら、こんなものが出てきました。


 すべてを戦線へ!


 この切手は、第二次大戦末期の1945年1月、ブルガリアで発行されたもので、「すべては戦線へ」という主旨のスローガンが加刷されています。


 第二次大戦中、周囲を親独国家に囲まれていたブルガリアには、ドイツと敵対するという選択肢はありえず、1942年、枢軸側にたって米英に対して戦線を布告します。このため、1944年9月にはソ連軍が侵攻し、国内の共産主義者が武装蜂起し、権力を掌握します。


 この切手は、そうした経緯を経て発行されたもので、共産政権となったブルガリアが、それまでの路線を180度転換してドイツと戦うことになったことを受けて、国民をあらたな戦争に動員するためのプロパガンダの一環として発行されました。それにしても、なんとも分かりやすいスローガンで、ある種の潔ささえ感じます。


 それにしても、これまでブルガリアの切手には、ほとんど興味もなかったのですが、ブログの記事を書くためにあらためてカタログを眺めてみると、それなりに面白いものもありそうです。これから何かと話題の国にはなりそうですし、少し、勉強してみるのも悪くなさそうです。でも、ある程度、モノと知識が増えてきたころには、琴欧州のことなんて誰も話題にしなくなってたりしたら・・・そんな一抹の不安がないわけではありませんけどね。