(戦時下のクリスマス)泰緬鉄道・1943年 | 郵便学者・内藤陽介のブログ

 (戦時下のクリスマス)泰緬鉄道・1943年

 一昨日のブログ では、第二次大戦中のドイツのクリスマスカードをご紹介しましたので、今日は、アジアの戦場から差し出されたこんな1枚を引っ張り出してみます。


 泰緬クリスマス   泰緬クリスマス(文面)


 この葉書は、第二次大戦中、泰緬鉄道の建設に動員されたオランダ人俘虜が差し出したものです。裏面(右側の画像)には、With best wishes for a cheerful Christmas!の一文が印刷されており、1943年のクリスマスを前に、俘虜たちに配給され、使用されたことが分かります。


 葉書表面には泰俘虜収容所第三分所の担当者が検閲済の印を押すスペースがありますが、この第三分所というのは、泰緬鉄道の建設中はビルマ地域におかれていましたが、1943年10月に工事が終了するとタイのニーケに移転しています。したがって、この葉書も、ニーケから差し出されたものということになります。


 検閲を受けた日付は、昭和19年1月13日。ナチス占領下のオランダに届けられた時には(ナチス・ドイツの検閲を受けたことを示す赤い印が押されています)、クリスマス・シーズンは終わっていたはずですが、葉書を受け取った家族にとっては、ともかく差出人が無事に生きていることが確認できただけでも何よりのプレゼントだったのではないでしょうか。


 まさに、「戦場のメリークリスマス」を地で行くような1枚です。


 * 一昨日の記事とあわせて、“戦時下のクリスマス”というコーナーを作りました。これから、クリスマスまでの間に、いくつか、関連の記事をまとめることにしました。まぁ、すぐには無理でしょうが、何年かかけて充分にモノが集まったら、いずれ、単行本としてまとめるなり、個展を開くなりしてみたいものです。ブログの記事は、そのためのファースト・ステップのつもりで、これから何年かは、毎年、この時期に書き溜めていこうと思っています。