(戦時下のクリスマス)ドイツ・1941年 | 郵便学者・内藤陽介のブログ

 (戦時下のクリスマス)ドイツ・1941年

 いよいよ、クリスマスまであと一月を切りました。


 昨日(25日)は、僕が週1コマ、非常勤で授業を担当している明治学院でもクリスマス・ツリーの点灯式がありましたし(僕はあいにく、参加しそびれましたが)、今日、拙宅に届いた雑誌『郵趣 』にはクリスマス切手の特集も組まれていました。ここ2~3日で、街中のクリスマス色も一挙に濃厚になったようです。


 というわけで、クリスマス・ツリー関係の何か気の利いたブツがないかと思って引っ張り出してきたのが、この1枚です。


 ドイツ 1941年


 この葉書は、第二次大戦中の1940年のクリスマスに際して、インゴルシュタット駐留のドイツ軍兵士が差し出したものです。ドイツ兵の守るモミの木の後ろには母子の姿が描かれており、国民の安全を守る軍のイメージをクリスマス・バージョンで表現したといった雰囲気があります。


 葉書が差し出されたインゴルシュタットはドイツのバイエルン州にあり、フランクフルトの東南およそ250km、ミュンヘンからはほぼ真北に120km、シュトゥットガルトからは東におよそ170kmの地点に位置しています。道路交通 の便が良く、長年にわたり、軍の駐屯基地として機能してきました。この葉書を差し出した兵士も、駐屯地で軍務についていた一人だったのでしょう。なお、第二次大戦後は、アウディの本拠地として、メルセデスやポルシェの本拠地となったシュトゥットガルトとともに、ドイツの自動車産業の重要な拠点となりました。


 1940年という年は、ドイツ軍が電撃作戦を展開して欧州を席捲した年でしたから、葉書の差出人にとっても、この年のクリスマスはさぞかし気分の良いものだったでしょう。しかし、1941年6月、ドイツはソ連に進攻し、独ソ戦が始まります。最初のうちは破竹の進撃を続けていたドイツ軍でしたが、冬の訪れとともにソ連軍の反抗が本格化し、次第に追い詰められていきました。ちなみに、日本が真珠湾攻撃を行い太平洋戦争が勃発した1941年12月8日は、それまで無敵を誇ったドイツ軍がモスクワ攻略をあきらめて撤退を開始した日でもあります。


 さて、今日のブログを書くためにいろいろと手持ちのストックを探していたら、ちょっと面白そうなクリスマス関連のブツがいくつか出てきました。まぁ、せっかくの時季モノですし、今日から何回かに分けて(不定期で)、ご紹介してみるのも悪くないかもしれません。しばらく、似たようなネタが続くかもしれませんが、よろしくお付き合いください。