ありがとうございました | 郵便学者・内藤陽介のブログ

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 反米展


 11月1日から東京・白金の明治学院インブリー館にて開催しておりました個展「反米の世界史:切手が語るアメリカ拡大の歴史」は、昨日(10日)をもって無事終了いたしました。会場にお運びいただきました皆様、本当にありがとうございました。


 10日間の会期中、当初の予想(700~800名)を大きく上回る1032名ものお客様をお迎えすることができたことに加え、多くのお客様から、「切手がこんなに面白いものとは知らなかった」「切手が歴史の証人であることがよく分かった」などの好意的なご感想を多数いただき、非常に喜んでいます。


 上の写真画像では若干分かりづらいかもしれませんが、今回の展示はインブリー館という重要文化財の洋館の一室を会場に、市販のA1版アルミ・フレームにグレーのラシャ紙を敷いてその上にマテリアルを配置したものを、イーゼルに立てかけて展示するという方式を採っています。


 いわゆる切手展の展示というと、どうしても、切手収集家の世界では、ほぼA4の大きさのリーフにマテリアルを貼ったものを、専用のフレームに複数入れた“作品”を展示するものと考えてしまいがちです。しかし、40年くらいまでは全日本切手展(全日展)でもパネル形式の展示で行われていたわけですし、そもそも、「リーフとはなんぞや」という感覚をお持ちの非収集家の方々向けの展示はこのスタイルでも支障はないものと思います。


 また、今回利用したアルミ・フレームはごく一般的に市販されているもので、定価で1枚3000円程度。量販店で買えばもっと割安に入手することができます。取扱は簡単ですし、見栄えという点でも、ポケット式のビニールパネルよりもはるかに良いと思うのですが、いかがでしょうか。


 これまで、収集家や収集家の団体が開催する地域の小規模な切手展というと、郵便局を借りてビニールフレームにリーフを並べるというスタイルが多かったように思います。そういう展示が悪いとは言いませんが、会場が郵便局に限定されてしまうと、どうしてもお客様の層も限定されてしまうように思います。切手の面白さ・奥深さをより多くの人に理解してもらうためには、新たな層に切手を見てもらわなければならないわけですから、郵便局以外の会場、たとえば、学校の空き教室や喫茶店などを切手展の会場として視野に入れて検討する必要があるように思います。


 その意味で、今回の個展は、郵便局以外の場所で個人が切手展を開催する時の一つのテストケースを収集家の皆様にご提案したという面があります。重要文化財の一室を利用するということはなかなか難しいのですが、①郵便局以外の場所を使う、②従来型のリーフ・フレーム展示スタイルをやめて、普通の人が普通に利用できるハードを使って展示する、③会場内にテーブルと椅子を設けてお客様とゆっくり話をしたり、お客様が切手関係の本を落ち着いて読むことができるようにする、といった点は、何らかの参考にしていただけるのではないかと思います。


 今回の僕の個展が一つのきっかけとなって、今後、たとえば地域の中学・高校(まぁ、さすがに小学校では無理でしょうね)の文化祭にあわせて空き教室で一般の人にも理解してもらえるような切手の展示パネルが並べられたり、あるいは、喫茶店の壁を利用して切手を並べた額がいくつか掲げられたりするなど、新しいスタイルの“切手展”が広がっていけば、僕としては、これほど嬉しいことはありません。


 なお、最後になりましたが、今回の個展開催にあたり多大なご尽力をいただきました明治学院大学関係者の皆様、特に、図書館の松岡良樹様には、この場を借りてあらためてお礼申し上げ、「反米の世界史」展が無事に終了したことのお礼とご挨拶に代えさせていただきます。


 ありがとうございました。